『マリアビートル』は東北新幹線の車内を舞台に個性豊かな登場人物たちがコミカルに裏社会の仕事をこなそうとする作品です。登場人物たちの中で一際異彩を放つ中学生の王子、この世に存在する悪意の全てを凝縮したようなキャラクターは強烈な印象を与えます。悪事に手を染める蜜柑、檸檬、七尾、木村ですが、真っ当ではない面はありながらも、義務的に仕事としてこなしている事実に比べて、本能的に悪を追い求める王子の対比が作品の見所です。作中で起こる全てが結末への伏線として生かされる伊坂幸太郎の作品、快い読後感も印象に残ります。
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