村上春樹による、オウム真理教の信者や元信者へのインタビューが収められた『約束された場所で (underground 2)』、興味深かかったのは、「異端者」として見られがちな彼らの対として存在する「一般人」との間に横たわる隙間は紙一重であるという点です。彼らが社会に馴染めなかったと感じる点は共感できる部分も多くあり、地下鉄サリン事件へと至る「自己を捨てる」という非人間性は、戦時中の日本を支配していた思想と瓜二つであり、現代でも時に企業では求められる行為ではないだろうかと感じました。もちろん、そうは言いつつも、犯罪に至るか至らないか、それを判断できるか否かには大きな違いはありますが、生きる上で何に価値を置くかという問いは普遍的なものであり、その点には違和感を感じませんでした。より大きな問題は作中でも述べられていたように、一歩間違えればオウム真理教のような極端な思想に洗脳される可能性を少しでも減らすリスクヘッジを行うことであり、傾倒し得る人々に社会的な基盤を提供できるか、容易ではありませんが、その重要性を再認識させられます。
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