元自転車競技選手であるタイラー・ハミルトンとダニエル・コイルによる共著『シークレット・レース-ツール・ド・フランスの知られざる内幕』、読んでいて自転車競技にはこんなにもドーピングが蔓延していたのかと驚かされました。ハミルトンが「チェス」と表現するほどに狡猾に立ち回り、許容範囲内で身体的な数値を上げることに没頭する一流選手たちの姿は異常であり、そうさせた競技界の腐敗ぶりを感じます。組織ぐるみで行われ、選ばれた者だけが手にし得る特権でもあったドーピング、自分自身がその立場に置かれた際に拒否できるとは断言できません。それほどまでに巧妙であり、ある意味では「普通」だったことが伝わります。スポーツの負の側面をありのままに見せた価値がこの作品にはあります。
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