『天才』

石原慎太郎の『天才』、田中角栄元首相の生涯を一人称で語るという手法の面白さが際立ちます。田中角栄という人物の人間力、洞察力、類い稀なる人心掌握術が随所に見られますが、その事実を少しでも知っている人にとっては、内容が薄く感じ、物足りない印象を与えると感じました。一人称で語るのであれば、内面の葛藤や揺れ動きを描き、生々しさが感じられると、内容が一層に深まったのではないかと思います。

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