村上春樹の旅行記、『辺境・近境』。様々な旅先で空気、土地、人に接して感じ、紡ぎ出される言葉の数々は自然に力が抜けていて、どれも著者らしいと思います。それは香川へのうどん紀行もアメリカ大陸の横断も、日本からの距離も移動距離も総じた「大変さ」も違うはずなのに、基本的には同じように感じるから。ノモンハンへの旅の中で日本の「非効率生」を説いた部分はとても共感しました。社会のあらゆる局面で 「理」が軽んじられる機会がまだまだ多くあると感じます。お金と時間さえあれば、基本的にはどこにでも行けてしまう現代。その中で、どこに行くにしても新たなエネルギーを吸収しようとする意志を持つこと、そういったことの大切さを再認識させられた作品です。
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