『火の粉』

雫井脩介の『火の粉』、結末が全く読めない展開に読者は手に汗握る。日常の対人関係のこじれが大きな災いに発展し得ることを象徴的に捉えたストーリーは不気味です。人によって捉え方や印象が違っていたり、感情の変化もあったりと、人間の心の機微を上手に描いている点も読者を飽きさせません。法の穴と限界を示し、人間を判断し裁くことの難しさも描いています。どこにでも潜むリスク、湿り気のある恐怖感は一読の価値があると感じます。

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