門田隆将の『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』、福島第一原発事故で実際に何が起こり、日常がどう変わったのかがつぶさに描かれています。未曾有の事態、刻一刻と悪化する原子炉に翻弄される人々、混乱と混沌にさいなまれながらも、大きな力に責任と勇気を持って立ち向かった人々の姿は圧倒的な重みがあります。特に後半に描かれている、残された家族とのエピソードはお互いの心境を想像すると、とても心を揺さぶられます。唯一の被爆国でありながらも、地震が多いこの国で原子力発電を導入した政治の甘さが改めて、悔やまれます。誰しもが一度が読んでもらいたいと思える作品です。
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