『虐殺器官』

伊藤計劃の『虐殺器官』、『メタルギアソリッド』シリーズを髣髴とさせる近未来のSF小説。徹底的にIT化された管理社会の中で繰り広げられる戦闘の数々は読み応え十分、ディテールも突き詰められていると感じます。随所に見られるデジタルとアナログ、先進国と発展途上国等の対比、主人公であるシェパードが背負う過去の重みや素直な感情に、間に立つことで生まれる葛藤が描かれています。クライマックスに向けての期待感に反し、終盤は尻すぼみのような印象を受けましたが、着想の面白さが光ります。

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