以前から読んでみたかった、筒井康隆の『旅のラゴス』、ラゴスの旅において、出会いや出来事には幸せなものもあり、辛いものもあります。多少の浮き沈みはありつつも、ラゴスの感情は落ち着いていて、常に前を向いています。運命として、旅の一部として、もともとが成熟した思慮深い人物として描かれていますが、何事も受け入れるその姿勢は人間のあるべき姿の一例のように感じます。そして、安住はせず、常に新しい経験を求めて旅を続けようともします。「人間はただその一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに可能な限りの時間を充てさえすればそれでいい筈だ。」、非常にシンプルな人生訓をラゴスは自身の旅で体現しています。改めて、旅をせずとも、人生自体が旅だと感じさせてくれる作品です。
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