『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』

『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』、多くの日本人が知っているようで知らない、日本の構造が筆者の目線でシンプルに語られています。日本とは切っても切り離せない、アメリカという大きな存在。日本の安全保障と経済発展に大きく寄与し、その代わりに、単独での競争力や誇りを失う要因として考えてきました。その明確な回答として、憲法をも超越した日米地位協定、実質の権力は日米合同委員会が握るという構造が説明されています。複雑なのは、それは戦後にアメリカから一方的に押し付けられてきたものではなく、天皇を中心として日本人自身が望んだものだという事実です。戦前からも見られた隠蔽や密室体質が形を変えて継続し、国民が頼るべき憲法を超えた場所で、日本と日本人の未来が決められている事実が浮き彫りにされています。これは決して「普通」ではなく、国際的に見ても「異常」であり、そのことに多くの日本人が慣れてしまっていることもまた「異常」だと感じます。とてもリアルな内容で、ショッキングでもありますが、公に報じられることが少ない、重要な事実を一つの側面から知ることができる、価値のある一冊です。