007シリーズの最新作、『Spectre』は『Casino Royale』、『Quantum of Solace』、『Skyfall』と続くシリーズに納得のできる「結末」をもたらしたという意味で、価値のある作品です。工夫を凝らした派手なアクションの数々、古い時代のシリーズを象徴するガジェットをスタイリッシュさと合わせて現代に置き換えたのも、悪くはありません。ただ、『Spectre』はアクションが観客の目を引き過ぎる気がします。最新のシリーズはジェームズ・ボンドの内面を描こうとしているからこそ、単純なアクション映画にはない深みが生まれていると感じます。最大の敵であるフランツ・オーベルハウザーが幼少時代を共にした歴史があるとすれば、物語はそこから起因しているということであり、シリーズの集大成として、心理面や人間関係、高度な情報化社会の中での007の存在意義にもっとスポットライトを当ててもらいたいと思いました。その部分が希薄に感じられるからこそ、アクションに引っ張られた「浅さ」が感じられるのだと思います。
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