城山三郎の『官僚たちの夏』は現在の経産省、当時の通産省を舞台とした作品、主人公である風越信吾を軸に、通産省内での人事に焦点を当てた「人間劇」です。高度経済成長の日本、常に変化を続ける外部環境の主導権を握るべく、産業振興法の成立に向けて登場人物たちが躍動します。通産省内での人間模様、政治家、民間企業、マスコミをも巻き込んで、通産官僚たちが引っ張る「日本」という船の重みを感じさせます。多様な人物たちが時には切磋琢磨し、争い、腹を探り合う。地味ではありますが、「生きる」ということを丁寧に描いた印象を受けました。
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