沢木耕太郎の『旅する力-深夜特急ノート』は『深夜特急』シリーズの補足的な作品です。香港からロンドンまでの旅に至った経緯、旅の最中に感じた思い、帰国してから『深夜特急』シリーズを執筆するに至った経緯が淡々と綴られています。各章ごとにつながりは感じますが、少し冗長的だったり、まとまりに欠けるような印象も受けます。『深夜特急』シリーズの裏話ももちろん含まれていますが、ノンフィクション作家として、リアルを常に求める、著者の自叙伝的な作品として捉えるべきかと思います。「ちゃんとした人生」や「旅の適齢期」等、共感する数多くの言葉を見つけることができました。特に「人が変わることができる機会というのが人生のうちにそう何度もあるわけではない。だからやはり、旅には出ていった方がいい。危険はいっぱいあるけれど、困難はいっぱいあるけれど、やはり出ていった方がいい。いろいろなところに行き、いろいろなことを経験した方がいい、と私は思うのだ。」という言葉は旅を人生と表現した、沢木耕太郎の気持ちを的確に表現していると感じます。
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