『Whiplash』を通じて、「人間性の発露」の美しさと苛烈さを感じました。自身の才能に中途半端な満足感を覚えたり、肉親の温かい支援に充足感を感じたり、恋愛を楽しんだり、個人は様々な面から充実感や楽しみを見出すことができます。ただ、主人公であるネイマンは一切の妥協を許さない、フレッチャーを通し、怯え、悩み、悔しい思いをし、悪戦苦闘しながらも、自身の才能を開花させていきます。演奏を「楽しむ」という言葉が出てきますが、真の意味は「自分自身を表現する」ことであり、それがどれほど困難で力を必要とすることかを描いた作品のように思います。激烈な指導方法は物議を呼びますが、中途半端な満足を否定し、どこまでも完璧を求めるそのストイックな姿勢は正に「求道者」のようで、圧倒的な美しさを感じさせます。「むちで打つ」や「むち打ち」等の意味を持つ「Whiplash」という言葉、厳しくも力強く、美しい内容に適切な題名だと思います。最後までその姿勢を貫いた、エンディングもただただ素晴らしいです。
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