『空の中』

有川浩の『空の中』はロマンと温かみのあるSF小説という印象を持ちました。人間と知的生命体である白鯨との対話、特に白鯨の性質はとても高潔で洗練されていて、民主主義の成り立ち等、人類が内包する矛盾点を簡潔に指摘している点等はアイデアと示唆に富んでいました。春名高己、武田光稀、斉木瞬、天野佳江、宮じい等、各登場人物の人となりが丁寧に描写されつつ、人間らしさにとても好感が持てます。突飛な物語ではありますが、とても「優しい」印象を受けます。

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