矢野大輔の『通訳日記』は、ザッケローニの日本代表の4年間を日記という形で垣間見ることができる作品です。書くことができない内容も多いであろうことを想像しながらも、日本代表を取り巻く空気感や人間たちの考え方や行動等、生の一面を知ることができ、非常に重みを感じさせます。細かいことですが、3-4-3のシステムが根付かなかった詳細、遠藤の後継者として期待を寄せた家長への最終的な評価は気になりました。また、香川も左サイドのポジションに悩みを抱えていたり、本田を中心として、ザッケローニが目指した、縦に速い、ピッチをワイドに使い、複数の選手が動いてスペースを作り、そのスペースを突くサッカーは方向性に乖離があり、細部のディテールに甘さが残ってしまった印象も受けます。人間が作り出すサッカーの面白さと素晴らしさを伝え、それと同時に、簡単に表現される「チームが一つになる」を実現することがどれほど難しいかを実感できる作品です。
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