『ゆりかごで眠れ』

垣根涼介の『ゆりかごで眠れ』『ワイルド・ソウル』と同様に、日本では体験できないような、コロンビアの混沌と、リキ・コバヤシ・ガルシアを中心としたハードボイルドな世界観が力強く、どこまでも「リアル」な息吹を感じさせ、魅了されます。「リアル」と表現した中には主人公のビジネスでの立ち回り方、コロンビアの日常、警察の実態等、多くを挙げられますが、雑然とした世界の中にも、ベロニカの言葉等、人としての「生き様」をストレートに描いている点が印象深いです。組織に従う、真の意味を表現したパパリト、感覚で生きる妙子、善悪の狭間に立つ武田等、生々しさをリアルな登場人物の言葉として読者に届けていることが素晴らしいです。

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