東野圭吾の
『幻夜』は
『白夜行』の流れを汲んだ作品です。単体として考えても十分に面白く、新海美冬としての唐沢雪穂のその後を描いた作品として捉えると、異なる魅力を感じます。悪女としての妖艶さは相変わらずであり、抜群の人心掌握術は天賦の才とも言えますが、こうも順調に物事が運ぶかと訝しんでしまいます。ただ、整形を繰り返したり、常に人を騙し続ける生き様は、新海美冬の弱さであり、脆さであり、強力な磁場のような魅力でもあるのだと思います。東野圭吾の分かりやすく、読者に読み進ませる力も改めて、さすがだと感じました。
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