横山秀夫の『クライマーズ・ハイ』は題材である日本航空123便墜落事故の取材劇を描いた作品です。未曾有の事故を追う苛烈さはもちろんのこと、地方新聞社を舞台として、全国新聞社との取材合戦以上に、スクープに対する旧世代のねたみや社内の別部署との軋轢等、主人公である悠木和雅は様々な苦悩や葛藤と戦います。「本当に紙面で取り上げるべき内容は何か」を常に模索し続ける姿勢はとても泥臭く、リアルな人間の生き様を描いていて、魅了されるものがあります。一人の人間としての生き方や仕事への向き合い方も含めて、「激しくも懐の深い」、熱を感じさせる作品です。
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