『アヒルと鴨のコインロッカー』

伊坂幸太郎の『アヒルと鴨のコインロッカー』はとても平穏で無味無臭な印象を持ちました。特に代わり映えのしない日々を過ごしてきたであろう、椎名は河崎と出会い、本屋襲撃を中心として、生活のリズムが少しづつ変わります。過去の琴美の物語も含めて、多くの出会いや変化があり、最終的には多くの命が失われますが、何事も起こらなかったような、ある種の「すがすがしさ」を感じさせます。「日常の中の不可思議さ」は村上春樹の作品の雰囲気を思い起こさせますが、いまひとつ「熱」を感じられません。

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