野沢尚の『龍時 01-02』で描かれる世界は、サッカーに魅入られる人間であれば、誰しもが憧れる世界ではないでしょうか。素晴らしい実力を持ちながらも、日本で水の合った居場所を見つけられずにいる志野リュウジは試合での活躍を通じて、スペインに活躍の場を移します。スペインで体験する、全く異なるサッカーとの遭遇、言葉の壁、人種差別等、言葉で目にする以上に過酷であろうことは想像できますが、過ちや過信を受け入れ、人間としても成長し、実力でチャンスを手中に収めるリュウジの姿は正に圧巻です。試合の描写はもちろんのこと、環境の描写、人の心の機微に触れる著者の表現は作品により深みを与えています。本当に自身をリュウジに置き換えてみたいと思う読者は多いと思います。
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