Football Match Reviews for July

July
2014 FIFA World Cup Brazil
Netherlands 2-1 Mexico
メキシコの出足が鋭く、堅い守備ブロックとスムースなパス回しに苦しむオランダ。攻撃の形を作れない。左サイドのカイトが右足にボールを置くことが多く、攻撃の選択肢を狭めている。メキシコは選手間の距離も抜群で、技術の高さも相変わらず素晴らしい。ドス・サントスの素晴らしいミドルシュートが決まった後はオランダが一気にペースを上げる。メキシコのゴールに何度も迫るが、メキシコもゴールを割らせない。土俵際まで追い込まれたが、スナイデルの目が覚めるような一撃が炸裂。バイタルエリアを空けたメキシコは結果として、オランダのボディブローのような攻撃が効いたか。負けはしたが、メキシコの各選手が見せるテクニック、特に懐が深く、小回りの利いたドリブルやボールキープ力は改めて天下一品。

2014 FIFA World Cup Brazil
Argentina 1-0 Switzerland
両チームの集中力の高さが伝わる、非常に「硬い」試合。序盤はイーブンな展開が続くが、時間の経過とともに、アルゼンチンが流れを引き寄せ始める。スイスはシャキリが攻撃を牽引するが、一人ではアルゼンチンの守備を崩せず。アルゼンチンも試合を支配するが、スイスの堅守を前にゴールを割れない。PK戦に入ると思われた終盤、メッシの中央突破からパスを受けたディマリアが値千金の決勝ゴール。メッシがまたしても「違い」を作った。

2014 FIFA World Cup Brazil
France 0-1 Germany
クロースのFKからフメルスがヘディングを決めて先制。フランスはドイツのディフェンスラインの裏を取り続けるが、堅守を崩せない。淡々と展開した印象が強く、フランスがドイツに勢いを削がれたか。ドイツは攻守に安定感抜群。

2014 FIFA World Cup Brazil
Brazil 2-1 Colombia
コロンビアの守備のミスを突き、CKからブラジルが先制。ブラジルはシュートも走り込みも、ゴールへの圧力が凄まじく、集中力の高さが窺える。ロドリゲスのパスやボールキープ力はさすがだが、フェルナンジーニョを中心としたブラジルのマークも厳しく、試合から消されたような印象。それ以外にもファウルが非常に多く、何度も止まる展開はリズムが悪く不快。ルイスの素晴らしいFKから追加点が生まれ、膠着した流れを打破。コロンビアはブラジルの勢いの前に沈黙。テンションの高い戦いをブラジルは戦ってきたが、シウバとネイマールを欠いて戦うドイツ戦は正真正銘の「正念場」。

2014 FIFA World Cup Brazil
Cameroon 1-4 Brazil
開始からブラジルが優勢に進めるが、カメルーンもブラジル陣内までボールを運び、守備陣を崩す場面も。最終的に点差は開いたが、カメルーンはそれなりに力を見せたと言える。先制点も含め、ネイマールは別格の動き。シュート、ドリブル、パス等、切れ味の鋭い動きが冴え渡る。

2014 FIFA World Cup Brazil
Argentina 1-0 Belgium
イグアインの素晴らしい反転と反応から見事な先制点。ベルギーは前線の崩しのアイデアが一歩足りない印象。後半に入ってベルギーも反撃するが、アルゼンチンの守備陣を崩すには至らず。改めて、メッシのボールキープ力は驚愕の域。絶対的な強さは感じないが、サッカーを知り尽くしたような堅実で老獪な試合運びは見事。ディマリアの欠場が決まった場合、大きな痛手となることは間違いない。

2014 FIFA World Cup Brazil
Netherlands 0-0 Costa Rica, 4-3 PSO
膠着した展開。オランダがチャンスを多く作るが、コスタリカも負けていない。防戦一方にはならず、細部まで統率された守備陣形からしたたかにカウンターを繰り出す。ナバスが見せ続けた好守も見事。最後はPK戦で散ったが、その勇敢な戦いぶりは賞賛に値する。

2014 FIFA World Cup Brazil
Brazil 1-7 Germany
前半から面白いように得点を重ねるドイツ。CKから生まれたミュラーの先制点から、完全に浮き足立ってしまうブラジル。ブラジルは前線からのドイツのプレスに苦しみ、攻撃の組み立てが全くできず、前に運べる選手がいない。プレスを受けて、ボールを奪われて雪崩のようなショートカウンターを食らい続ける悪循環。バイタルエリアもすっぽりと空いてしまったような状態。中盤から前の選手が常に動き回り、ブラジルの守備陣の間でパスを受けて攻撃につなげるドイツは完璧な試合運び。後半のドイツは「省エネ」サッカーを徹底、後ろに重心を置き、時折見せるカウンターは切れ味が鋭い。ブラジルにとっては表現する言葉が見つからないほど、最悪な結果。後世に語り継がれるような試合。

2014 FIFA World Cup Brazil
Brazil 0-3 Netherlands
開始早々にロッベンに突破を許し、PKを献上。先制点を奪われる、苦しい展開。ブラジルの攻撃はサイドに散らすか、オスカルを中心とした個人の突破のみ。タメを作れて、ドリブルでファウルも誘え、シュートまで持ち込めるネイマールの存在感の大きさが改めて浮き彫りに。ブラジルはロッベンをファウルでしか止められず、ショートカウンターから失点を重ねる。

2014 FIFA World Cup Brazil
Germany 1-0 Argentina
両チームの集中力の高さが伝わる、拮抗した展開。ドイツがボールを持ち、アルゼンチンが少ない人数で速攻から攻撃を仕掛ける構図。前半から決定機が多く生まれるが、ノイアーとロメロの好守もあって決まらない。後半も似たような流れで時間が過ぎる。派手なプレーは少ないが、国のプライドや4年に一度の重みから生まれる気迫が存分に伝わる、「ワールドカップらしい」魅力が詰まった試合。シュヴァインシュタイガーとマスチェラーノが中盤で獅子奮迅の活躍、両チームの攻守を支える。終盤とは思えない、シュールレの軽快な突破からゲッツェが値千金の先制点、技術の高さを見せつけた。「失点の可能性を限りなく減らしながら、得点の可能性を上げる」という、全てのスポーツに通じる真理を実感し、ノイアーやメッシのプレーを見て、その可能性の増減に深く関わる「個の輝き」の貴重さも存分に感じた。

2014 FIFA World Cup Brazil
Netherlands 0-0 Argentina, 2-4 PSO
終始非常に「硬い」試合。両チームともに守備が堅く、バイタルエリアで相手にスペースと時間を与えない。極端に守備に重きを置き、チャンスらしいチャンスもほとんど生まれず。改めて、サッカーにおける失点の重みを肌で感じられる試合。その中で輝きを放つ、ロッベンの「個の力」に脱帽。

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