『夜のピクニック』

恩田陸の『夜のピクニック』は奇抜な舞台設定が作品の面白さを作り出しています。「歩行祭」という夜を徹し、80キロを歩き通すという設定の中で、西脇融と甲田貴子の複雑な間柄を中心に、テンションも高まった周囲の登場人物たちが織り成す、心理描写が興味深いです。正に「日常の中の非日常」、本当に「手に届きやすいスリル」がこの作品にはあります。甲田貴子も含め、戸田忍や遊佐美和子等、高校生にして、ここまで思慮深い発言を繰り出せるか疑問に思う気持ちもありますが、シンプルに面白いと思える作品です。

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