『八日目の蝉』

角田光代の『八日目の蝉』は日常の中に「極限の状況」を成立させた名作です。著者は『対岸の彼女』と同じように、価値観や立場の違いを同じ舞台の上に立たせ、衝突することで生まれる力を作品の軸に据えていると感じました。『八日目の蝉』では、「悪の中の正義」と「正義の中の悪」がテーマとして描かれます。その狭間に立つ秋山恵理菜が自分自身を見つめ続けるプロセスは非常に重厚です。

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