村上龍の『69 sixty nine』は「意志」や「本能」の作品だと感じました。異性への憧憬、体制への反抗、停滞等、最終的なアウトプットは洗練されていませんが、主人公であるケンとアダマが彼らの意志や本能によって生み出し続ける、バリケード封鎖やフェスティバルは粗削りで魅力的な力に溢れています。簡単なようで、意志を持つことが難しいからこそ、進化や変化を常に求めるケンとアダマが魅力的に映るのだと思います。リズミカルでめりはりの利いた文章も作品の世界観を巧みに表現しています。「楽しければいい」というシンプルな理念、どんなことがあっても「笑い飛ばす」マインド、直感的で本能的な前向きさに溢れた作品です。
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