『風立ちぬ』

『風立ちぬ』は良い意味での「不完全さ」が魅力的な作品です。一つ一つのシーンが簡潔に必要最小限の要素で構成されているように感じました。違和感を感じることも事実ですが、主人公である堀越二郎のシンプルな性格と重なり、その「多くを語らない」作品の姿勢に想像を掻き立てられ、快い時間を作り出しています。色彩美、細部へのこだわり、音楽のどれも圧倒的です。作品に合わせて作られたような印象を受ける『ひこうき雲』は琴線に触れるメロディが素晴らしく、最高のエンディングを作り出しています。「夢に殉じる」苦悩、素晴らしさを同時にユニークな形で描いています。

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