村上龍の『限りなく透明に近いブルー』、まずは作品名がとにかく素晴らしいと感じます。ここまで色彩と質感を感じさせ、情緒を感じさせる言葉の連なりはなかなか見られません。作品名の美しさとは反対に、最初から最後までセックス、音楽、暴力、薬物が延々と描写されますが、とにかく客観的に描写されていて、とてもドライで不快には感じません。強力なエネルギーのようなものを感じますが、行われている行動の「むなしさ」もしっかりと描かれています。悲しみやむなしさを感じるからこそ、極限の快楽に行き着き、その間を往来しているリュウの心情が丁寧に描かれ、独特の印象深さを読者に残します。
コメント
コメントを投稿