『Moon』は淡々と進む中に多くの見応えがあります。月のエネルギー採掘基地等のセットは質感も含めてとてもリアルで、作品の始まりから終わりまで流れる不気味な雰囲気はサム・ベルと同じように観客を宇宙空間に放り出したような冷たさを感じさせます。ケヴィン・スペイシーが担当したGERTYの透き通るよな滑らかな声は『2001: A Space Odyssey』のHALを意識したことが伝わり、「見えない大きな力」に翻弄される主人公の姿は『The Truman Show』で見られるトゥルーマンが感じる苦悩を思い起こさせます。人物はサム・ベルを演じたサム・ロックウェルしか画面に登場しませんが、作品が成立しないほどにその好演が光ります。意外なエンディングですが、とても魅力的な作品です。
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