『錦繍』

宮本輝の『錦繍』は手紙のやりとりを通じた人間の再生の過程に深みを感じる作品です。過去に対する葛藤、後悔、執着、嘆き等が互いの告白を通じて見られますが、全てを受け入れて力強く、淡々と生きようとする様は心に重く響きます。回りくどいと感じる面もありますが、一つ一つの言葉を丁寧に紡いだ対話がここにあり、面と向かっては決して生まれない手紙の魅力を改めて感じました。

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