金子達仁の『惨敗―2002年への序曲』は1998年FIFAワールドカップフランス大会の前後、アジア地区最終予選から中田英寿のセリエA移籍までの日本代表の「流れ」を追った作品です。中田英寿や川口能活の証言、著者の思いや理論等が詰まっています。当時の日本代表監督である岡田武史や日本サッカー協会に対する指摘や批判は振り返るとフェアなものに感じますし、感覚的な話や物事を言葉にするのが上手だと改めて実感します。感性や情熱に寄った部分も感じられますが、日本の停滞やその後の韓国の躍進等をロジカルに言い当てた点は驚きました。様々な原稿を時系列に並べた作品のため、流れが詰まったり途切れるような箇所があり、リズムの悪さが少し気になりました。
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