『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は相変わらずの読みやすい文体と多崎つくるの「巡礼」を追うミステリーの流れに魅了されました。登場人物たちを始め、随所に見られる色に関する細かい描写は人物、風景、物事等の性格を表しているようで印象に残ります。多崎つくるの生活や夢は現実と非現実の間を行き来し、著者の他の作品に比べ、生々しさも感じました。様々な色に彩られた人間関係や社会の一片を見たような気がし、空想的な雰囲気の中に身近さを感じられる作品です。

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