『海辺のカフカ』

村上春樹の『海辺のカフカ』は田村カフカとナカタさんに代表される2つの世界がパラレルに進み、非常に多くの要素がメタファーを絡めながら登場します。物語は最終的に落ち着くべき場所に落ち着きますが、読者に解釈を委ねている要素が他の作品と比べても多い印象を受けます。アイデンティティーの確立、過去の過ち、混乱、消失感、生と死、本能、迷い等、思い付くだけでも個人的には多くのテーマを見受けましたが、重みのあるテーマが不可思議な世界に登場する「アンバランスさ」も改めて、著者の魅力のように感じます。

コメント