『中田語録』

『中田語録』はサッカー日本代表とセリエAでの華々しい活躍を通し、近代の日本サッカー界における「先駆者」としての地位を築いた中田英寿が正にその階段を上り始めた頃に書かれた作品です。どこまでも冷静な態度を保ち、常に最善で最適なアプローチを見つけようとする姿勢は日本サッカー界に突如として現れた新しい「象徴」であり、その後に続く成長の「始まり」の大きな一端だったと思います。好奇心旺盛で高い向上心を秘めつつも、合理的で無駄を嫌う、若かりし中田英寿の性格がダイレクトに描かれています。真意は分かりませんが、時が経って変わらない価値観もあり、尖った部分が丸くなったような印象も受けます。ブームの最中に書かれた作品であり、どうしても「理想像」が描かれているような、少し強引な印象も受けましたが、中田英寿の先進性や記憶に残る数々の素晴らしいプレーに対するリスペクトは変わりません。

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