町田康の『告白』ほど人間の深層心理を掘り下げた作品を読んだことがありません。800ページを超える長編小説ですが、河内弁と現代語の併用やリズミカルな文体が印象的な町田康のスタイルが併さり、テーマの重さが抱える重厚感を残しつつも、コメディのようなライトな作風が読者を飽きさせません。物語の全ての行動や出来事に主人公である城戸熊太郎の考えが細部に至るまで描写されており、その葛藤や逡巡が生々しく、共感を覚えます。個人の脳内の一生を駆け足で巡った読後感は非常に重く、悲しさも重なり、忘れられません。終盤での城戸熊太郎の「告白」が持つパワーが凄まじいです。
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