『Crash』


『Crash』は多民族国家であるアメリカ社会の核心を突いた作品です。作中で人種や階級差別が露骨に表現され、度が過ぎているように最初は感じますが、どの出来事も日常でいつでも起こり得ることに気付かされます。車、衝突、銃という流れを通し、アメリカ社会を象徴的に描いたシンプルさが素晴らしいです。各登場人物の善悪の振り幅を最終的に描いていますが、単純な救いだけでは終わらない深みが感じられます。アメリカ、ひいては人種や階級の間に根深く存在するテーマに正面から向き合った良作です。

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