『敗因と』


金子達仁の『敗因と』は2006年FIFAワールドカップドイツ大会における日本代表のグループリーグ敗退の敗因を探った作品です。数々の証言を通じた日本代表の心理描写やディテールの表現等、非常に丁寧に書かれていますが、最終的には敗因はチームにおける中田英寿と他選手の不和と監督としてジーコの経験不足の2点に帰結しているように思われます。「どちらの主張も正しい」等の表現は作品にどっちつかずな印象を与え、敗因を究明した作品としては内容が淡白な気がします。実際の敗因を深く掘り下げるのではなく、敗因と「思われる」いくつかの要素をドラマチックに描いた作品と見るべきです。

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